インフルエンザ予防接種とは
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症予防や重症化を防ぐために接種します。ワクチンを接種したからといって、完全にインフルエンザを防げるわけではありません。ワクチンと合わせて、マスクや手洗い・うがいといった基本的な予防策も続けることが大切です。インフルエンザワクチンには、注射型と鼻に噴霧する「フルミストタイプ」があります。
注射型インフルエンザワクチン
注射型は不活化ワクチンで、ウイルスの感染力と毒性が完全に失われたものを使用します。接種は皮下注射で、通常は腕に行います。
接種回数
- 生後6か月~3歳未満の方は、25mlを2週間から4週間の間隔をあけて2回接種
- 3歳~13歳未満の方は5mlを2週間から4週間の間隔をあけて2回接種
- 13歳以上の方は5mlを通常1回接種
「フルミスト」鼻スプレー型インフルエンザワクチン
フルミストは鼻から直接噴霧するタイプのワクチンで、痛みがないためお子さまにも負担が少ないのが特徴です。ウイルスに対する免疫を体内で作り、予防効果が高いとされています。欧米では長年使用され、安全性の実績があります。日本では2023年から使用可能となり、15歳以下の子どもにも推奨されています。
「フルミスト」の特徴
- 痛みがない
- 効果の持続が長く、約1年続く
- 流行株以外の株にも効果あり
- 注射よりも予防効果が高い(特に小児において)
接種対象年齢
- フルミスト接種対象者:2歳以上18歳以下
※それ以外の年齢の方は接種対象外です。
接種できない方
- 2歳未満、19歳以上
- 過去に喘鳴と診断され、現在も喘息発作を頻繁に起こしている方
- 慢性疾患(心疾患、肺疾患、糖尿病、肝疾患など)のある方
- 免疫不全者(がん治療中など)
- アスピリンを服用している方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 重度の卵アレルギーやゼラチンアレルギーがある方
- その他、医師が接種不適当と認める方
注意事項
インフルエンザ予防接種の持ち物
- 診察券
- 健康保険証もしくはマイナ保険証
- 乳幼児医療証または子ども医療証
- 母子手帳
- 子ども医療費助成受給券
- インフルエンザ予診票
インフルエンザ予防接種の費用
当院ではインフルエンザワクチンを親子で対応できるようにしております。お子さまだけでなく、親御さまもご希望される場合は、お気軽にご相談ください。
注射タイプの場合
小児インフルエンザ予防接種は各自治体で助成制度をご利用いただけます。詳細はお住まいの市区町村のホームページをご確認ください。
項目 | 費用(税込) |
---|---|
注射タイプ(自費またはご家族さま(大人)の場合) | 3,000円 |
フルミストの場合
項目 | 費用(税込) |
---|---|
フルミスト | 10,000円 |
インフルエンザ予防接種のよくある質問
インフルエンザワクチンの接種後は、予防効果はいつから現れますか?
接種後、2〜3週間で予防効果が現れ始めます。13歳未満の場合、2回目接種後1か月程度で効果がピークに達します。
家族がインフルエンザに罹患した場合、すぐにワクチンを接種すれば予防ができますか?
ワクチンの効果は接種後2〜3週間後に現れますので、現在の感染を予防することはできません。
卵アレルギーがある場合、インフルエンザワクチン接種ができませんか?
卵アレルギーがある方でも、ほとんどの場合、ワクチンの接種は問題なく行えます。
インフルエンザワクチンは製造過程でごく微量の卵由来成分を含むことがありますが、近年では精製技術が向上し、残存する鶏卵タンパク質の量は極めて少なくなっています(数ng/mL以下=1mL中に1gの10億分の1以下)。
そのため、重度の卵アレルギーの方は注意が必要ですが、多くの方は安全に接種できます。
ご不安な場合は、事前にご相談ください。
妊娠中ですが、インフルエンザワクチンは接種できますか?
妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、全ての妊娠期間を通じて安全であることが確認されています。妊婦がインフルエンザにかかると重症化しやすいため、ワクチン接種を行っていただくことを推奨しています。日本で使用されるインフルエンザワクチンは、不活化ワクチンであり、胎児への悪影響は報告されていません。
また、妊娠中は防腐剤(チメロサール)を含まないワクチンが推奨されることがありますが、通常のワクチンでも赤ちゃんへの影響はないとされています。
※鼻噴霧タイプのインフルエンザワクチン(フルミスト)は、妊娠中や妊娠の可能性がある方への接種はできません。
生後間もない子どもはインフルエンザワクチンの接種がまだできないため、どのように予防したらいいですか?
生後半年ほどの間は、母体から受け継いだ免疫があるため、比較的感染症にかかりにくい時期とされています。生後6か月未満の乳児は、インフルエンザワクチンを接種できないため、ご家庭内での感染予防が重要です。ご家族さまがワクチンを接種することで、家族内での感染リスクを減らし、乳児へのウイルスの持ち込みを防ぐことに繋がります。