- 子どものアレルギー性鼻炎・花粉症
- アレルギー性鼻炎・花粉症の症状
- アレルギー性鼻炎・花粉症の診断
- アレルギー性鼻炎・花粉症の治療
- アレルギー性鼻炎と風邪の見分け方
- アレルギー性鼻炎と喘息の関係
- アレルギー性鼻炎・花粉症のよくある質問
子どものアレルギー性鼻炎・花粉症
アレルギー性鼻炎はダニやハウスダストなどが原因で、1年中ずっと鼻炎症状がある「通年性アレルギー性鼻炎」と、スギやブタクサなど花粉が原因で、花粉の飛散時期のみ鼻炎症状が出る「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に分けられます。
アレルギー疾患の中でも、アレルギー性鼻炎と花粉症は年々増加傾向にあり、3歳以下の低年齢も増えてきています。アレルギー性鼻炎は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などを合併することも多く、トータルで治療していくことが重要です。症状が強いと睡眠不足、日中の活動性低下など日常生活への影響も大きいため注意が必要です。
アレルギー性鼻炎・花粉症の症状
アレルギー性鼻炎・花粉症の診断
まず問診を行います。いつからどのような症状があるか、季節により違いはあるか、他のアレルギー疾患はあるか、家族にアレルギー疾患の人がいるか、などを確認していきます。診察としては、鼻の中の診察を行い、鼻汁や鼻の粘膜の状況を確認します。必要に応じて血液検査や皮膚テストを行います。当院では血液検査は可能になります。
アレルギー性鼻炎・花粉症の治療
原因となる抗原を回避する
ダニ対策
- 室内を掃除する(ゆっくり時間をかけて行う)
- カーペットやソファは布製を避ける
- 布団にも掃除機をかける
- 寝具にダニ防止カバーをつける
- 部屋の温度、湿度を適正に保つ(目安:20~25度、45%程度)
花粉対策
- 外出時は花粉対策用メガネやマスクを付ける
- 必要最低限の換気に留める
- 洗濯物を外で干さない
- 帰宅時に衣服や髪をよく払ってから家に入り、その後すぐに洗顔する
- うがい、鼻かみをする
- 室内の掃除をしっかり行う
薬物療法
抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の内服やステロイドの点鼻薬を使用します。目の症状があれば、抗ヒスタミン薬の点眼薬や外用薬、ステロイドの点眼薬などを使用します。
花粉症の場合は、花粉が飛散する前から使用することが飛散ピーク時の症状を抑えるために重要です。
アレルゲン免疫療法
原因となるアレルゲンを体内に投与することで、少しずつアレルゲンに対する症状を緩和していく治療です。ゆっくり効果が出る治療であり、治療期間は3~5年間となります。現在はダニとスギのアレルギーに対して5歳以上から治療可能です。
当院では舌下免疫療法を行っており、ご家族さまも治療が可能ですので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
アレルギー性鼻炎と風邪の見分け方
鼻水や鼻づまりはアレルギー性鼻炎、風邪の両方に見られる症状です。両者の見極め方としては、以下のことを参考にして判断します。必要に応じて血液検査でアレルギー検査を行います。
アレルギー性鼻炎
- 透明サラサラな鼻水
- 発熱なし
- 目のかゆみを伴うことが多い
- 症状は3週間以上続く
風邪
- 色の付いたドロドロな鼻水
- 熱が出ることも多い
- 目のかゆみは少ない
- 症状は1−2週間で落ち着くことが多い
アレルギー性鼻炎と喘息の関係
アレルギー性鼻炎は、喘息の発症や悪化要因になり、半数以上に喘息症状があるという報告もあります。アレルギー性鼻炎は、治療をしっかりと行うことで、喘息のコントロールにも良い影響があります。また、ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎の症状がある場合、舌下免疫療法を行うことでアレルギー性鼻炎と喘息の両方に効果が得られるケースも多くみられます。
アレルギー性鼻炎・花粉症のよくある質問
アレルギー性鼻炎を疑った場合、検査は必ず必要ですか?
必ず必要ではありません。ダニやスギなどの環境アレルゲンは暴露されている期間が短いと検査に反映されないことがあります。また検査する時期によっても結果に差が出るのでタイミングも重要です。通常は6歳以上で検査を行いますが、舌下治療が検討される場合は5歳でも検査を行います。
アレルギーの薬は眠くならないですか?
現在使用できるアレルギー薬は眠くなりづらく、効果が強いものも多いです。成人にとっては重要になりますが、内服後に運転しても問題ないアレルギー薬もあります。また、同じアレルギー薬でも人により効果や眠くなりやすさは変わりますので、症状の改善が得られない、眠くなりやすい場合は薬の変更も検討しましょう。
子どもの時にスギ花粉症になったらいつまで症状は続きますか?
一般的には自然治癒することは限りなく少ないと言われています。50~60歳までは症状が続くことが予想されます。さらに高齢になってくると症状は改善していきます。症状が強く悩まれている方は、舌下免疫療法を行うことをお勧めします。
花粉症の症状をすぐに抑えたい場合はどうすればいいですか?
症状が強く出ているときは、医師の診断を受けた上で、内服薬や点鼻薬などを使うことが効果的です。特に抗ヒスタミン薬は比較的早く作用し、くしゃみや鼻水を抑えるのに役立ちます。
また、花粉をできるだけ体に取り込まないように工夫することも重要です。外出時にはマスクやメガネを着用し、衣服に付いた花粉を持ち帰らないよう玄関先で払い落とすことも、症状の悪化を防ぐポイントになります。
アレルギー性鼻炎は自然に又は自力で治せますか?
アレルギー性鼻炎は、年齢とともに症状が落ち着く場合もありますが、自然に完治することは少ないです。特に、原因となるアレルゲン(ダニや花粉など)が日常的に存在する場合、症状が長引くことが多いです。
そのため、生活環境の見直しや医師による適切な治療を継続することが大切です。アレルゲンを減らす取り組みや、根本的な改善を目指すアレルゲン免疫療法など、症状を軽くするための方法は複数ありますので、お気軽にご相談ください。
アレルギー性鼻炎で食べてはいけないものはありますか?
基本的に、鼻炎症状そのものと直接関係する食べ物はありませんが、注意が必要なこともあります。
たとえば、花粉症のある方の中には、特定の果物や野菜を食べた際に口の中がかゆくなったり、しびれたりする口腔アレルギー症候群(OAS)を起こすことがあります。これは、花粉と食べ物に共通するアレルゲンがあるためです。
例としては、スギ花粉症の方がトマトで反応することがあります。ご不安な方は、症状の出た食材を記録しておき、医師にご相談することをお勧めします。