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小児皮膚科疾患

子どもの皮膚疾患

子どもの皮膚疾患子どもの皮膚は大人よりも薄く、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすいです。また、子どもは自分の体調についてうまく伝えることが難しいため、周囲の大人が常に目を配り、状態をよく観察することが重要です。
乾燥やアレルゲンなどが原因でかゆみが生じた場合は、適切なスキンケアが効果的です。当院では、様々な皮膚の問題に対応できるスキンケアの正しい方法についてもアドバイスを行っています。
お子さまの皮膚に気になる症状が見られる場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

子どもの皮膚疾患でよくある病気

新生児ざ瘡

新生児ざ瘡は、一般的に「赤ちゃんにきび」と呼ばれるもので、お母さんのホルモンが赤ちゃんに移行し、皮脂分泌が活発になることで現れる発疹を指します。生後2週間頃から出始めて、多くの場合、数か月以内に自然に治癒します。常在菌であるマラセチアなどが関与していると考えられています。
新生児の敏感な肌には、優しいスキンケアを行い、毎日の洗浄を丁寧に行うことが大切です。

乳児血管腫・苺状血管腫

乳児血管腫・苺状血管腫は、鮮やかな赤いあざが現れる病気で、生後1か月前後の赤ちゃんに発症します。主な原因は、未熟な毛細血管の異常な増殖です。多くの場合、1歳までにピークのサイズに成長し、5~7歳頃には自然に薄くなっていきますが、痕が残る可能性もあります。
乳児血管腫・苺状血管腫は、サイズが小さい場合や目立たない場所にある場合は治療をしないという方法を取ることもあります。顔などの目立つ場所にある、擦れて出血している、急激に大きくなる場合は、β遮断薬(ヘマンジオルシロップ)の内服やレーザー治療が推奨されます。また、血管腫が目や耳、気道の周辺にできると呼吸器、感覚器など身体の機能に影響を与える可能性があるため、早期の治療が必要になります。

乳児湿疹

乳児湿疹は、乳児期に現れる湿疹の総称で、特に顔(口や頬)、頭部、首、手足、足首などに赤い小さな発疹が現れることが多いです。汗や皮脂が多く分泌される部分に発生しやすい傾向があります。
自然に治癒することが多いですが、症状が長引いたり、赤みやかゆみがひどくなる場合には、アトピー性皮膚炎の可能性も考えられます。症状が強い場合は、ステロイド外用薬などの治療を検討することがあるため、その際は当院までご相談ください。

乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)

乳児脂漏性皮膚炎は、皮脂分泌が多い部位(おでこ、頭部、首、脇、股など)に炎症が起こる皮膚の問題です。マラセチアという常在菌が関与しているとも言われています。
皮脂が固まったかさぶたのようなものができてしまった場合は、入浴前にオリーブオイルやベビーオイルなどを15~30分程度浸してから石鹸でしっかり洗うと、かさぶたが取れることもあります(無理に剥がさないようにしましょう)。多くの場合、適切なスキンケアのみで生後3か月頃までに自然に治癒しますが、症状が長引く場合はアトピー性皮膚炎の可能性を疑います。炎症がひどい場合にはステロイド外用薬などの治療が必要になることもありますので、症状でお悩みの際は当院までご相談ください。

皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏症は、皮脂分泌が不足し、肌が乾燥してカサついている状態です。症状が進行すると、白い粉がふいたり、湿疹を伴う皮脂欠乏性湿疹に発展することもあります。
皮脂の分泌量は生後6か月を過ぎると急激に減少するため、この時期から発症しやすいとされています。皮膚の乾燥だけだとそのまま放置してしまう方もいますが、痒がっていたり、掻きこわしてしまう場合は早めの対応が必要です。
対策としては、部屋の湿度を調整したり、適切なスキンケアを行い、ヘパリン類似物質を含む保湿剤で肌に水分を補うことが効果的です。ただし、これらのケアを行ってもかゆみが続く場合は、別の病気の可能性もあるため、早めに受診することをお勧めします。

おむつかぶれ

おむつかぶれおむつかぶれは、尿や便に含まれる成分が皮膚に接触し、ただれたり小さな発疹ができる状態です。主な症状には、赤み、痛み、かゆみに加えて皮膚がめくれて出血することもあります。治療方法としては、おむつ交換時に患部に付着した尿や便を優しく拭き取り、その後に軟膏やワセリンの塗布を行います。重度の場合は、ステロイド外用薬の使用を行います。
これらの治療で改善しない場合は、カンジダという真菌(カビ)が原因で皮膚炎になっている可能性があるため、外用薬を変更します。

おむつかぶれが治らない原因は?

おむつかぶれは、お尻や足の付け根などおむつが接触する部分を清潔に保つだけでも改善することがあります。清潔ケアに加えて、外用薬をしても1週間以上症状が改善しない場合は、おむつかぶれ以外の原因が関与している可能性もあります。
基本的なケアを続けても改善が見られない場合は、小児科や皮膚科で診察を受けることをお勧めします。必要に応じて、検査や薬の処方が行われます。

基本的なケア方法
  • おむつが濡れていないか、こまめに確認し、交換する
  • おむつ交換時の拭き取りは擦らずに優しく拭く
  • お風呂では、肌を刺激しないようぬるめのお湯で石鹸を使用し優しく洗う
  • お風呂後は、タオルで優しく水分を拭き取り、しっかり乾燥させる

など

あせも

あせもは、汗腺が詰まることで生じる発疹のことを指します。皮膚の浅い場所で詰まった場合は、水晶様汗疹といって、透明からやや白っぽい発疹が見られます。水晶様汗疹はかゆみもなく、数日で改善します。皮膚のやや深い場所で汗腺が詰まった場合は、紅色汗疹といって1~2mm程度の小さい赤い発疹が現れます。かゆみも伴い、おでこ、首(襟足)、脇の下、背中などによく見られます。対応としては、汗をこまめに拭き取る、着替えをする、可能であればシャワーで流すことが重要です。改善が乏しい場合や湿疹を伴う場合は、ステロイドの外用薬を使用することがあります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、元々の体質や環境要因により皮膚のバリア機能が低下し、慢性的に皮膚が炎症を起こしているアレルギー性疾患です。症状の現れ方や程度には個人差がありますが、症状の悪化と改善を繰り返すことが特徴的です。
治療の基本は、皮膚の乾燥や炎症を抑えるためのスキンケアや外用薬を用いた薬物療法です。アトピー性皮膚炎の早期対応は、食物アレルギーの発症予防にも繋がるため、早期診断と治療が重要になります。湿疹を繰り返している場合や、アトピー性皮膚炎と診断されているが湿疹が完全に治りきっていない(ツルツル、スベスベになっていない)場合は、お早めにご相談ください。

アトピー性皮膚炎

感染症皮膚疾患

水ぼうそう(水痘)

水ぼうそう(水痘)とは、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。感染後、約2週間の潜伏期間を経て、かゆみを伴う、小さく盛り上がった赤い発疹(丘疹)が全身に現れます。38℃前後の発熱が数日続くこともあります。通常、発疹は数日以内に水疱へ変化し、その後かさぶたに変わり、痒みも治まっていきます。近年では、水痘ワクチンが定期接種になったこともあり、典型的な水疱形成が見られないケースも多いです。すべての水疱や丘疹がかさぶたに変わると、登園や登校が可能となります。
治療法としては、かゆみを抑え、水疱を早く乾燥させるための塗り薬を使用し、必要時は抗ウイルス薬の内服を行います。

麻疹(はしか)

麻疹は麻疹ウイルスに感染することによって発症する感染症です。空気感染でも広がるとても感染力の強いウイルスです。感染後、10~12日間の潜伏期間を経て、様々な症状が現れます。
主な症状には、38℃前後の発熱、喉の痛み、咳、鼻水、目の充血、目やにに続いて、口内の頬粘膜にコプリック斑という白いぶつぶつが現れます。一旦解熱しますが、すぐに39℃前後に高熱が出て、発疹も出現します。発疹は初めに顔や首に現れ、その後全身に広がって、色素沈着がしばらく残ります。
治療は、主に症状を緩和するための対症療法が中心となります。肺炎や脳炎、中耳炎など様々な合併症を引き起こすこともあります。麻疹はワクチン接種が有効な予防法であるため、接種可能が時期になったら速やかに予防接種を受けることを推奨しています。

風疹(三日ばしか)

風疹は、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症で、麻疹と似た症状が短い期間現れることから「三日はしか」とも呼ばれます。感染後、2〜3週間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が現れます。
主な症状は、38~39℃の発熱、小さく盛り上がった赤い発疹(小丘疹)、リンパ節(耳介後部、後頭部などが多い)の腫れなどですが、風疹の発疹は麻疹とは異なり、色素沈着を残さずに消失する特徴があります。治療は主に対症療法になります。
妊娠初期の妊婦が風疹に感染すると、胎児に母子感染を引き起こし、先天性風疹症候群を発症するリスクがあります。先天性風疹症候群の主な症状は、難聴、心疾患、先天性白内障などです。
ワクチン接種が有効な予防方法です。

突発性発疹

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型および7型に感染することで発症する感染症です。最初に39℃近くの発熱が3〜4日続き、解熱とともに発疹が現れます。発疹は痛みやかゆみを伴わず、数日かけて自然に治癒します。
突発性発疹の特徴として、「今まで見たことないほどの不機嫌」を経験することがあります。一般的には発疹が出たタイミングが最も不機嫌になると言われています。
治療は、解熱剤などで症状を緩和し、発疹に対しては治療せず様子を見るだけで問題ありません。発疹が出た際に、突発性発疹よるものか確認したい場合はご相談ください。

りんご病(伝染性紅斑)

りんご病(伝染性紅斑)は、ヒトパルボウイルスB19に感染することで発症する感染症です。約2~3週間の潜伏期間を経て、微熱やかぜ症状が出現することがありますが、ほぼ無症状の場合もあります。更に7~10日ほど経った後、頬に紅斑が現れ、続いて四肢に網目状の発疹が広がるなどの症状が見られます。発疹は、約1週間で色素沈着せずに自然に消失します。発疹が現れた時には感染力はないため登園や登校が可能です。
治療は、症状に応じて対症療法を行います。発疹のみであれば基本は様子を見るだけで問題ありません。
妊婦さんが感染すると胎児への影響があり、感染した場合、約10%が流産や死産になるともいわれています。また、血液疾患(溶血性疾患)や免疫に異常がある方に感染すると重症化することがあります。

手足口病

手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどのウイルスによって引き起こされる感染症で、主に夏に流行していましたが、近年では夏以外にも流行することが増えてきました。3~5日程度の潜伏期間を経て、口の中や手のひら、足底、お尻などに水疱や発疹を認め、発熱を伴うこともあります。体幹には発疹が少なく、かさぶたにもならず、1週間程度で消退します。ただし、口腔内にできた水疱による痛みが原因で食欲不振になることがあるため、この期間はこまめな水分補給を心がけ、脱水症状の予防をしていくことが重要です。
また、手足口病の症状が治まった後も、ウイルスは便に残っている可能性があり、2〜4週間ほど排便後には手洗いをこまめに行うようにしましょう。

手足口病

とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひ(伝染性膿痂疹)は、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌によって引き起こされる皮膚感染症です。湿疹や虫刺されを引っ掻くことで二次性の細菌感染を起こし、他の場所にも細菌が広がることでとびひも全身に広がります。また、鼻の中には元々細菌がいるため、鼻を触ってしまうことが多い乳幼児では、鼻の周りからとびひが広がることも多いです。
とびひができてしまった場合は、泡立てた石鹸でしっかり洗浄することで清潔に保ち、不必要に鼻を触らないように指導しましょう。
治療は、軽度の場合は抗生物質の外用薬のみで対応できますが、重度の場合は抗生物質や抗ヒスタミン薬の内服も併用して症状を改善させます。

水いぼ(伝染性軟属腫)

水いぼ(伝染性軟属腫)は、皮膚に数㎜のツヤのある水泡状のいぼが多数現れるウイルス感染症です。皮膚のバリア機能が、未熟な乳幼児やアトピー性皮膚炎の患者に発生しやすいです。水いぼがあるところを掻きこわすと他の場所にも広がってしまいます。また、肌が直接他の人に触れたり、プール中のタオルやビート板などの物を介しても感染は広がります。症状は軽度のかゆみ程度で、診察して始めて気が付く場合もあります。ほとんどは半年から数年という長い期間をかけて自然に治癒します。治癒期間が早まることを期待して外用薬を使用したり、ピンセットで摘除する方法もありますので、状況に応じて治療方法は決めていきます。

にきび(尋常性ざ瘡)

にきび(尋常性ざ瘡)は、毛穴に詰まった皮脂にアクネ菌が増殖することによって炎症が引き起こされる病気です。アクネ菌は皮膚に常在しているものの、異常に増殖すると炎症を引き起こし、赤いぶつぶつや膿が溜まったにきびを発生させます。思春期に多く見られるのは、ホルモンバランスの乱れにより皮脂の分泌が増えるためです。治療には、炎症を抑える抗生物質や、毛穴に皮脂が詰まるのを防ぐ外用薬を使用します。悪化すると痕が残ってしまうため、早めの治療をお勧めします。

蕁麻疹

蕁麻疹は、強いかゆみを伴う赤い丘状の発疹(膨疹)が発生する病気です。蕁麻疹には様々な種類があり、食物や薬剤、物理的な刺激、汗などが原因によるものや、明らかな原因がはっきりしない特発性と呼ばれるものなどがあります。時間経過とともに跡形もなく消えることが特徴です。多くは数十分〜数時間で自然に治まりますが、中には6週間以上続く慢性蕁麻疹となるケースもあります。かゆみが強い場合や全身に広がった場合は、抗ヒスタミン薬の内服や外用による治療を行います。

虫刺され

虫刺され虫刺されは日常的に起こる症状で、刺されて数時間後から赤みが出始め、3~4日間は赤く腫れることが多いです。生まれた直後の赤ちゃんは刺されてもそこまで腫れることはありませんが、1~2歳頃より徐々に腫れやすくなり、大人よりも腫れが強くなることがあります。痛みやかゆみは、刺された際の刺激や虫の分泌液によるアレルギー反応が原因です。症状は虫の種類や刺された部位、お子さまの体質によって異なります。炎症が強い時期は少し強めのステロイド外用薬を短期間使用します。

頭じらみ

頭じらみは、人の頭部に寄生し、頭皮から吸血します。始めは無症状ですが、寄生する数が増えるとかゆみが現れます。髪の毛に卵が付着していることで確認ができます。頭から頭へ直接移動するか、寝具、タオルなどを介して広がります。家族内で一人が発症すると感染が広がる恐れもあります。
主な対策は、毎日髪の毛を洗うことです。特に、シラミに効果的な成分であるスミスリンを含んだシャンプーを使用すると、10日ほどで駆除が期待できます。また髪を目の細かいクシでとかして、頭じらみを取り除くことも有効です。

小児皮膚科疾患のよくある質問

子どもの皮膚トラブルは一般小児科と小児皮膚科のどちらに受診すればいいですか?

発熱を伴う皮膚トラブルであれば、まずは一般小児科を受診することをお勧めします。熱がなく、皮膚の症状が中心の場合はどちらでも問題ないです。イボの処置など特殊な治療が必要な場合は皮膚科または小児皮膚科へ受診しましょう。全身に発疹が出ている、元気がないなど心配な症状があれば、早めに受診するようにしましょう。

一般小児科

りんご病(伝染性紅斑)は一般小児科と皮膚科のどちらを受診すればいいですか?

りんご病は基本的にどちらでも構いませんが、学校や園への対応などを考慮するのであれば一般小児科の受診が無難だと思います。どの科を受診すればよいかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

溶連菌は肌に湿疹ができますか?

溶連菌感染症では喉の痛みや発熱に加えて、体に湿疹が出ることがあります。特に胸やお腹、顔、手足に赤く細かい発疹が現れることが多く、回復期には皮が剥けてくることもあります。皮膚症状だけでなく、発熱や喉の痛みを伴う場合は、まずは一般小児科を受診しましょう。

湿疹