一般小児科とは
一般小児科では、発熱や鼻水、咳、喉の痛み、嘔吐、下痢、腹痛、湿疹など、子どもによく見られる急性症状から、長引く咳や喘息(気管支喘息)、アトピー性皮膚炎、花粉症といった慢性的な病気まで幅広く診療を行います。
また、予防接種のスケジュール管理や健康相談、育児に関するアドバイスなども提供しています。必要に応じて、専門的な診療や治療が必要と判断した場合は、当院が連携している高度医療機関へご紹介する体制も整えております。
当院では、地域のかかりつけ医として、お子さまの健康をサポートし、ご家族さまの不安を解消できるよう努めています。何か気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
子どもに多く見られる症状
- 熱がある、発熱を繰り返している
- 咳が出ている、咳が止まらない
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音)がある
- 喉を痛がる
- 鼻水が出ている、鼻水が止まらない、鼻がつまっている
- 便秘(うんちが出ない、うんちが固い、踏ん張ってうんちをしている)
- 下痢(うんちが緩い)
- 血便がある
- 下血がある
- お腹を痛がる
- 嘔吐している
- 頭痛がある
- 湿疹、繰り返す湿疹がある
- ご飯を食べない
- 元気がない
- 頭の形が変わっている
など
発熱
子どもが発熱した際、顔色が悪く元気がない状態や、意識がもうろうとしている、熱性けいれんが見られる場合などは、早めに医療機関を受診してください。特に、生後3か月未満の乳児が発熱した場合は、急を要する病気である可能性も高いため、すぐに受診する必要があります。
生後3か月以上の子どもについては、脱水症状に注意しながら十分に水分を摂取させてください。その他、排尿の状態や嘔吐、下痢、鼻水、咳など発熱以外にも気になる症状がある場合は受診してください。
また、朝と夜の熱の変化(熱型)を記録しておくと、診断の助けにもなり診察がスムーズに進みますので、ご協力の程よろしくお願いします。
咳が止まらない
咳は、外部から侵入した異物を肺や気管支から排除するための自然な防御反応です。そのため、一過性の咳であれば特に心配する必要はありません。しかし、咳が3週間以上続く場合は、風邪以外の何らかの病気やアレルギー反応などが考えられるため、注意が必要です。
受診時には、過去に使用した薬や現在服用している薬を把握するため、お薬手帳を持参してください。
喘鳴がある
子どもが体調を崩しているとき、「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった呼吸音が聞こえることがあります。これを喘鳴(ぜんめい)と言います。喘鳴は、気管支や喉頭が狭くなっていることが原因で起こり、ます。喘息や気管支炎、クループ症候群、百日咳などさまざまな病気が考えられます。喘息では、夜間や明け方、季節の変わり目、運動後に出ることが多いです。息苦しい、ぐったりしているなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
鼻水・喉の痛み
鼻水や鼻づまり、喉の痛み、違和感などは風邪によく見られる症状です。風邪は、主に鼻から喉までの通り道である上気道に感染が起きる病気です。
風邪の症状が悪化すると、副鼻腔炎や中耳炎など、耳や鼻の合併症を引き起こすことがあります。ドロドロの鼻水や耳の痛みが続く場合は、早めに受診されることをお勧めします。
便秘
便秘とは、排便の回数が少なく、便が固くスムーズに出せない状態を指します。排便の頻度が週に2回以下の場合は便秘を疑います。毎日排便があっても、排便時に強い痛みを伴う、肛門が切れて出血する、小さなコロコロした便が出る、やわらかい便を少し漏らしてしまうなどの場合も便秘に含まれます。
適切な治療によって、「週に3回以上快適に排便できる」状態に改善されることを目標とします。治療期間は年単位になることもあり、長く付き合っていく必要があります。
下痢
乳児の下痢はよく見られる症状ですが、母乳やミルクをしっかり飲み、機嫌が良く普段と変わらない様子であれば、特に心配する必要はありません。
しかし、下痢が長引いている、元気がない、母乳やミルクをほとんど飲まない場合は、脱水のリスクがあるため、早めに受診しましょう。
下痢が続くと脱水症状を起こしやすくなるため、こまめな水分補給が必要です。特に、尿の回数が減る(半日以上空く)、泣いても涙が出ない、唇が乾燥しているといった症状が見られる場合は、すぐに受診してください。
血便・下血
便が赤くなったり黒くなったり、また便に血が混じると、親御さまが心配されることが多いです。この症状は、便秘により肛門周辺が切れて出血することや、乳児の場合、腸の免疫機能が発達する過程で一時的に出血が起こることが主な原因とされています。ただし、便に混じる血ではなく大量の血が出たり、強い腹痛があったり、ぐったりしていたりする場合は、腸重積やメッケル憩室からの出血、細菌性腸炎、炎症性腸疾患などの治療を必要とする病気の可能性もあります。このような場合は、すぐに受診することをお勧めします。また、診察時に便の写真をお持ちいただけると、より正確な判断ができますので、ご協力の程お願いします。
腹痛
腹痛は子どもによく見られる症状で、便秘や感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎・細菌性胃腸炎)などが原因であることが多いです。腹痛を訴える場合、発熱や吐き気、便秘、下痢の有無、便の状態などをよく観察することが大切です。
さらに、食物アレルギーや呼吸器疾患、膀胱、腎臓、生殖器の病気でも腹痛を訴えることがあります。腹痛が続いたり、他にも気になる症状があれば、早めに受診されることをお勧めします。
嘔吐
乳幼児は大人と胃の形が違うことから、些細なことでも嘔吐します。特に乳児では、ゲップや咳をした時、寝返りやハイハイなど日常の動きの中でも嘔吐することがあります。そのため、多少の嘔吐があっても普段と変わらず元気であれば、特に緊急を要することはありません。
しかし、嘔吐を繰り返して水分が摂れない状況が続き、ぐったりしてきた場合は早急に受診する必要があります。嘔吐をした際は、その後の状態をしっかり観察することが大切です。
頭痛
風邪などの症状で頭痛を訴えることがありますが、発熱がないのに頭痛を訴える場合や、元気がなく機嫌が悪い様子が見られる際、頻回の嘔吐を認める場合は、早めに受診されることをお勧めします。
子どもの頭痛には、大人と同じように慢性頭痛や片頭痛、緊張型頭痛などもあります。また、思春期には自律神経の影響で頭痛が起こることもあります。その他にも、頭蓋内出血や脳腫瘍、てんかんなどの症状として頭痛が現れることもあるため、頻度が増えたり、痛みが強くなる場合は注意が必要です。
湿疹
子どもに多く見られるアレルギー疾患には、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、小児喘息(気管支喘息)、アレルギー性鼻炎、花粉症などがあります。これらは、身体を外部から守る免疫反応が過剰に働くことで引き起こされます。
特に湿疹は、早期に適切な治療を行うことで、その他のアレルギー疾患の予防にもなります。湿疹やアレルギー症状にお悩みの際は、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
ご飯を食べない・元気がない
乳幼児が普段と異なり、食欲がなかったり元気がなかったりする場合は、注意深く状態を観察することが大切です。食事は取らなくても糖分や塩分が含まれた水分をこまめに摂取することは心掛けましょう。特に乳児は、言葉でのコミュニケーションができないため、泣き方や鳴き声に配慮をして見ていくようにしてください。
親御さんから見ていつもと様子が違うと思われた場合は受診の目安としてください。
頭の形が変わっている
赤ちゃんの頭の骨は脳が成長できるように隙間が空いており、更に柔らかいという特徴があります。そのため、胎内での姿勢や産道を通った影響で出生時に頭が変形することや、出生後の体位や向きぐせにより頭の形が徐々にゆがんでしまうことがあります。
頭の形のゆがみに関しては、生後1~2ヶ月までに適切な対策をすることで多くは予防することができます。仮に、生後3ヶ月を過ぎて頭のゆがみが強い場合でも早期に治療を行えば、改善することが期待できます。頭のゆがみが気になっている方や予防方法を早めに知りたい方は当院までご相談ください。
子どもに多い病気
- 熱性けいれん
- 風邪
- 小児喘息(気管支喘息)
- おたふく風邪
- 感染性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)
- 溶連菌感染症
- 手足口病
- アデノウイルス
- マイコプラズマ肺炎
- RSウイルス感染症
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染
- 臍ヘルニア(でべそ)
- 熱中症
- おねしょ(夜尿症)
- 尿路感染症
- 真性包茎
- 亀頭包皮炎
など
熱性けいれん
熱性けいれんは、一般的に生後6か月~5歳の子どもが38℃以上の発熱時に起こるけいれん発作です。主な特徴として、顔色が悪い、呼びかけに反応がない、目が上を向くか左右どちらかに偏る、手足がガクガクと一定のリズムで動くなどがあります。多くの場合、5分以内で自然に回復しますが、長く続く場合は、髄膜炎や急性脳症など重い病気である可能性も考えられます。5分以内にけいれんがおさまった後でもご心配であれば、当院までご相談ください。
5分以上けいれんが続く場合やけいれん後に1時間以上意識が戻らない場合は、速やかに医療機関まで受診してください。
風邪
風邪は、発熱やくしゃみ、鼻水、咳などの症状を引き起こす病気の総称です。主な原因は、ウイルスが喉や鼻の粘膜に感染し、炎症を引き起こすことによるものです。
ウイルスは細菌とは異なり、特効薬がないため、治療は症状を抑える対症療法を行い、身体を安静に保ちながらウイルスが体外に排出されるのを待つことが基本となります。
小児喘息(気管支喘息)
気管支喘息は、子どもから大人まで発症するアレルギー性疾患で、特に子どもでは、アトピー素因が関与していることが多いとされています。生まれつきアトピー素因を持ち、気道に炎症がある子どもが、ハウスダストやダニなどのアレルゲンを吸い込むことや下気道感染症などにより気道が敏感に反応してしまい、喘息を引き起こします。主な症状には、咳や息苦しさ、呼吸困難、食欲減退などがあります。気道が炎症により狭くなることで、ヒューヒューやゼーゼーといった喘鳴が起こることがあります。
治療は、発作や炎症を抑える薬物療法が中心となります。小児喘息は適切な治療が行われれば、多くの場合、成人になるまでに改善します。室内の清掃をこまめに行い、アレルゲンを避ける生活習慣を日ごろから気をつけることも重要です。
おたふく風邪
おたふく風邪は、耳下腺と顎下腺が腫れて、顔の下側が膨らんだように見える病気です。通常、両側に症状が現れますが、片側のみのこともあります。主な症状は、発熱や頭痛など、風邪と似た症状ですが、放置すると無菌性髄膜炎や膵炎、難聴、卵巣炎、精巣炎などの合併症を引き起こすことがあります。特に難聴はワクチン未接種の方に多くみられ、聴力が回復しないことも多く、予防のためにワクチン接種を受けておくことが推奨されています。
おたふく風邪には特効薬がないため、治療は解熱剤などを使用して症状を緩和する対症療法が行われます。
感染性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)
感染性胃腸炎は、嘔吐、下痢、発熱を引き起こす病気で、ウイルスや細菌が原因となります。ウイルス性胃腸炎は寒い季節に流行しやすく、細菌性胃腸炎は高温多湿な夏に流行します。脱水にならないようにこまめに水分摂取を行いながら、症状に合わせて対症療法を行います。
溶連菌感染症
溶連菌感染症は、発熱、喉の痛み、発疹を引き起こす学童期に多い病気です。溶連菌の種類はA群、B群、C群、G群などありますが、A群が最も一般的です。中には急性糸球体腎炎やリウマチ熱など、重篤な合併症を引き起こすこともあるため、決められた期間しっかり抗生物質を内服することが重要です。
手足口病
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどのウイルスによって引き起こされる感染症で、主に夏に流行していましたが、近年では夏以外にも流行することが増えてきました。口の中や手のひら、足底、お尻などに水疱や発疹を認め、発熱を伴うこともあります。体幹には発疹が少なく、かさぶたにもならないという特徴が水ぼうそうとは異なります。この病気は、さまざまなウイルスが原因となっているため、同時期に複数回かかることもあります。治療は、症状に応じた対症療法が中心となります。
アデノウイルス
アデノウイルスは多くの種類があり、さまざまな場所に感染するため、咽頭炎や気管支炎、結膜炎、胃腸炎などを引き起こします。治療は、対症療法を中心に行っていきます。また、目の充血や目やになどの症状がひどい場合は、抗生物質やステロイドの点眼薬を処方します。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマは、学校や家庭内で広がりやすい細菌で、感染すると2~3週間の潜伏期間を経て咳や発熱などが現れます。自然に治る軽症なものから、入院が必要になる重症な肺炎まで様々です。心筋炎や脳炎などの合併症を引き起こすこともあります。治療には、マクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系の抗生物質が用いられます。
RSウイルス感染症
RSウイルスは、発熱や鼻水、痰の絡む咳を引き起こす感染症です。2歳までの子どもがかかりやすく、発熱が4~5日程度続くことも多く、鼻水や咳の症状は徐々に悪化していく傾向があります。特に1歳未満の乳児では細気管支炎や肺炎を伴い、重症化することが多い病気です。
インフルエンザ
インフルエンザは毎年冬から春にかけて流行し、咳や鼻水の他、38℃以上の高熱、倦怠感、筋肉痛などの特徴的な症状がみられます。治療には抗インフルエンザ薬が使われ、重症化や合併症の予防のためにワクチン接種が推奨されています。ただし、インフルエンザウイルスは毎年異なる型が流行するため、毎年のワクチン接種が必要です。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症は、発熱や咽頭痛、咳、鼻水、頭痛などの症状を伴います。一般的に軽症なことが多いですが、基礎疾患のある子どもは重症化のリスクがあるため注意が必要です。治療は症状に合わせて対症療法を行います。
臍ヘルニア(でべそ)
臍ヘルニア(でべそ)とは、腸が外側に飛び出した状態であり、主に赤ちゃんに見られます。出生後、へその緒が取れた後に、へその通り道(臍輪)が完全に閉じないために腸が押し出されてしまうことが原因です。成長とともに自然に閉じることが多いものの、放置すると皮膚が伸び、形が変わることもあります。
皮膚が伸びることを予防するために、綿球とテープで腸を押し込む「圧迫療法」が行われ、特に生後6か月までに始めると効果が高いとされています。大きな臍ヘルニアを放置すると将来的に臍の見た目が気になってしまう可能性もあるため、早めの対応を推奨しています。
熱中症
熱中症は、高温環境で長時間過ごすことで、体温の調節がうまく働かなくなり体調を崩す状態です。症状としては、発汗、筋肉痛、頭痛、嘔吐、高体温、倦怠感やけいれんなどがあります。特に子どもは体温調節が未熟なため、5月頃でも発症することがあります。近年は春先から気温が高くなるため、こまめな水分・塩分補給、服装管理、必要に応じて運動制限を行うことが重要です。熱中症が疑われる場合は、涼しい場所で体を冷やしながら、水分摂取を行いましょう。
おねしょ(夜尿症)
夜尿症は、5歳を過ぎてもおねしょが続く状態で、夜間の尿量が多いことや膀胱の容量が少ないことなどが原因となります。水分摂取の量や時間帯など、まずは生活指導を行います。それでも改善が乏しい場合は、尿検査や排尿記録により原因を推測し、適した治療を選択していきます。お子さまのおもらしが続いても、決して叱らないことがおねしょ治療においてはとても大切です。おねしょでお悩みのお子さま・親御さまは、当院までお気軽にご相談ください。
尿路感染症
尿路感染症は、腎臓から尿道までの通り道に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。原因菌としては大腸菌が多く、背景に腎尿路奇形が関与していることもあります。発熱や頻尿、排尿時の痛みなどの症状があり、腎臓にまで炎症が及ぶと入院での治療が必要になります。特に、おむつをしている乳児ではリスクも高く、呼吸器症状がないにも関わらず発熱が続く場合は尿路感染症を疑い積極的に検査を行います。入院加療が必要な場合は専門医療機関をご紹介いたします。
真性包茎
真性包茎は、包皮が常に亀頭を覆ったままの状態で、成長とともに自然に剥けないケースを指します。乳児期に尿路感染症を繰り返す場合は、包皮が剥けるようにするためにステロイド外用薬を使用します。また、嵌頓包茎(包皮が元に戻らず、包皮や亀頭が腫れる状態)は緊急治療が必要になります。この場合は、必要に応じて専門医療機関をご紹介します。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎は、包皮と亀頭の間に炎症を起こす病気です。洗浄不足や不衛生な手での接触による感染、物理的な刺激などが原因となって、包皮の腫脹や発赤、排尿時痛、膿が出る、などの症状を認めます。主に抗生物質の外用薬で治療を行いますが、重症例では抗生物質の内服治療も行います。
一般小児科のよくある質問
風邪をひいたら何科を受診すればいいですか?
風邪の診察は、一般小児科でも小児耳鼻科でも可能です。咳を認めている場合は一般小児科をお勧めします。耳・鼻・喉の症状が単独で強い場合は、一般小児科でも小児耳鼻科のどちらでもよいでしょう。お子さまの症状に応じて選ぶようにしましょう。
受診の目安はありますか?
お子さまを医療機関に連れていく目安として、生後3ヶ月未満の発熱や、発熱が4日以上続く場合は早めに受診しましょう。また、発熱以外の症状として、元気がない、食欲がない、咳がひどい、嘔吐や下痢が続く、けいれんなどがみられる場合は、38℃以下であっても受診が必要です。特に、意識がぼんやりしている、顔色が悪い、呼吸が苦しそうな場合は、速やかに受診してください。
親も子どもと一緒に受診することが可能ですか?
親子揃って診察を受けていただくことも可能です。まずお子さまを診察し、その後に親御さまの発熱や咳、喉の痛みなどの症状についてお伺いします。親子で体調を崩されることも多いため、その場合は遠慮なくお申し出ください。